専門科目対策(概要)
この記事では、私が行った専門科目対策について書いていきます。
コンピュータ科学の専門科目は、ⅠとⅡの二つから構成されます。
出題範囲は、
ⅠとⅡに共通するもの:情報数学、数値計算、離散数学、アルゴリズムと計算量、形式言語、論理学、プログラミング言語論、計算機アーキテクチャ、オペレーティングシステム
Ⅱだけ出る可能性があるもの:機械学習、グラフィクス、自然言語処理、バイオインフォマティクス
となっています。(30年度の試験要項に書いてあったものです。)
試験時間は、両科目90分ずつで、Ⅰは大問3つの必須問題、Ⅱは大問6つから2問を選択する形式でした。
コンピュータ科学専攻は親切なことに、参考書リストを公開しているので、基本的にはこれらの本を中心に勉強しました。
以下、このリストの中で私が読んだ本です。括弧がついているのは、少し読んで諦めたものです。
- 久保田 光一: 工学基礎 数値解析とその応用, 数理工学社, 2010
- J. マトウシェック, J. ネシェトリル (根上 生也, 中本 敦浩 訳): 離散数学への招待 (上, 下), 丸善出版, 2002
- 五十嵐 健夫: データ構造とアルゴリズム, 数理工学社, 2007
- J. ホップクロフト, R. モトワニ, J. ウルマン (野崎 昭弘, 高橋 正子, 町田 元, 山崎 秀記 訳): オートマトン 言語理論 計算論 I (第2版), サイエンス社, 2003
- D. パターソン, J. ヘネシー: コンピュータの構成と設計, 日経BP, 2014
- A. Silberschatz, P.B. Galvin, G. Gagne (土居 範久 監訳): オペレーティングシステムの概念, 共立出版, 2010
- (A. W. Appel (神林 靖, 滝本 宗宏 訳): 最新コンパイラ構成技法, 翔泳社, 2009)
- (榎本 彦衛: 情報数学入門, 新曜社, 1987)
- (萩谷 昌己, 西崎 真也: 論理と計算のしくみ (1, 2, 4章), 岩波書店, 2007)
- (杉山 将: 統計的機械学習 —生成モデルに基づくパターン認識, オーム社, 2009)
- (奥村 学: 自然言語処理の基礎, コロナ社, 2010)
また、アルゴリズムについては知識が充分でないと感じたので、
- アルゴリズムとデータ構造 (岩波講座 ソフトウェア科学 3)
- プログラミングコンテストチャレンジブック [第2版] ~問題解決のアルゴリズム活用力とコーディングテクニックを鍛える~
これらの本を読んである程度知識をつけてからは、徹底的に過去問演習をしました。
答えがないのが厳しいですが、自分のどこが弱いのかが分かるので、その都度ネットで調べたりして知識を補強していきました。
今後時間がある時に、それぞれの単元についてもう少し細かく書いていきたいと思います。
ここまで読んで頂き、ありがとうございした。
<参考書リスト>
数値計算
離散数学
オートマトン
データ構造とアルゴリズム
オペレーティングシステム
言語処理系(コンパイラ)
情報数学
論理学
機械学習
自然言語処理
数学対策
本記事では、数学科目の試験に対してどのように対策を行ったかを書いていきます。
まず、東大の情報理工学系研究科の数学科目は専攻によらず同一であり、3つの大問から構成されます。
ある程度、各大問でどのような問題が出題されるかは決まっていて、以下のようになっています。
解析が一番範囲が広く、対策が難しいと感じたので、勉強する順番は、線形→確率統計→解析としました。
また、近年は微積分と微分方程式の問題が交互に出題されているという噂を目にしたので(実際確認するとそういう傾向はありました)、自分は微積分に絞って対策を行いました。
全ての大問を通して、私が行った数学の対策は2つだけです。
一つ目ですが、有名な問題集である演習 大学院入試問題[数学]Ⅰ、演習 大学院入試問題[数学]Ⅱを解きました。
この本には、「例題」と「問題研究」の2つの形式で問題が載っていますが、私が解いたのは「例題」問題のみです。例題のみだと各章30問程度ですが、これらをちゃんと理解するだけでもかなり力がつきます。
しっかり解いたのは、1章(線形代数)、2章(微積分)、6章(確率統計)の3つです。3章(微分方程式)は少しだけ解きました。
二つ目は、過去問演習です。
数学の過去問はホームページで15年分位公開しているので、それを可能な限り全て解きました。もちろん全ての問題が解けた訳ではないですが、傾向を掴むのには非常に役に立ちました。
また、遡りすぎると今は出そうにない問題(複素関数論)などもありますが、それらはスルーしました。
東大の線形代数はここ数年、「行列の対角化→二次形式の最適化」のような問題が多かったのですが、今年(2017年8月)の入試は連立方程式の最適化(?)という少し毛色の違う問題が出ました。
ただし、この問題も似たようなものが過去に出題されていることがありましたので、過去問は出来る限り昔のものまでやっておくと良いと思います。
以上、私が行った数学の対策についてまとめました。
今後受験される方々の参考になれば嬉しいです。ここまで読んで頂きありがとうございました。
私のTOEFL勉強法
こんにちは。前回の記事で、TOEFL-IBTとTOEFL-ITPの違いをお話しました。
今回は、私がTOEFL-IBTを受験するにあたり、何を勉強したかをお伝えします。
なお、勉強法などは他の多くのブログなどでも紹介されているので、ここでは私が行ったことだけを書いていきます。
スタート(大学3年7月)
私がTOEFL受験を志したのは、大学3年の夏休みに入る少し前でした。夏休みを利用して勉強し、夏休み明けに試験を受ける計画を立てました。ちなみにTOEFL-IBTは半年前(私が受験した時は3ヶ月前でした)から試験の申し込みができるので、なるべく早く申込んだほうが良いです。良い試験会場はどんどん埋まっていくらしいので。
この時点で私はTOEFLを受験したことはなく、TOEICのスコアは795程度でした。
大体TOEFL-IBTのスコアが80あれば、院試で不利になることはないという噂を聞いたので、目標点は80に設定しました。しかし圧倒的にSpeaking, Writingには自信がなかったので、Reading:22, Listening:22, Writing:20, Speaking:16 くらいを目標にしました。
以下では、私が行った勉強や使った参考書などを、なるべく時系列順に書いていきます。
Official Guide Book
まず最初に、TOEFLがなんたるかを知るために、Official Guide to the TOEFL Test(TOEFL公式ガイドブック)を読みました。日本語版と英語版が販売されていますが、英語を読むことに慣れる目的も兼ねて、私は英語版を選びました。
この本では、TOEFLの各Sectionがどのような問題で、どのように評価されるかが詳しく解説してあります。また、模試も3回分くらいついているので、初めてTOEFL-IBTを受験される方は、この本を一読することを強くおすすめします。
また、英語版では(もちろんですが)一切日本語は書いていないので、All in Japaneseの生活に浸っていた私には、非常に良い練習になりました。
Reading
Official Guideを読むのと並行して行ったのは、単語力の増強です。私は「TOEFLテスト英単語3800」という本を使いました。
この本では、単語が重要度別に1~4のRankに分かれていますが、実際にはRank 3まで覚えれば十分だと言われています。
しかし、Rank 3の単語でも初めて見るものが多く、結局試験日までにはRank 2 + Rank 3の2割 程度しか覚えることはできませんでした。
Listening
単語をある程度覚えてきた頃に、Listeningの練習を始めました。
まずOfficial Guideで出題の形式を把握した後、こちらのサイトで問題を解きまくりました。TOEFLのListenigには、会話形式の問題と講義形式の問題があります。上記のサイトにはそれが50問ずつ載っていて、しかも無料で全て利用できます。
結局私が解いたのは全部で40問ほどでしたが、それでも数を重ねることで、英語を聴く体力がつくのを実感しました。
また、可能な限りシャドーイングを行っていました。シャドーイングとは、英語を聴きながら、そのセンテンスを同時自分で発するという勉強法です。詳しいことはGoogleで検索して下さい。この方法は私のListening力の向上に大きく貢献してくれました。
使用した教材は、上記のサイトの問題、Official Guideや後述の公式問題集の問題、それと英語のPodcastなどを使っていました。
Listeningは、数をこなすことが一番重要だと個人的には思っています。
Official Tests Book
Offcial Guideだけでは演習量が足りないなと感じたので、もう一冊TOEFL公式の問題集を購入しました。「Official TOEFL iBT® Tests Volume 1」という本です。
この本には、Official Guideのような問題形式等の解説はなく、ただ単に問題(過去問?)が5回分まとめてあります。
個人的には、Official Guideの問題より少し難しく感じました。
また、この本のVolume 2も発売されているので、時間があればこちらも解くことをお勧めします。
Writing & Speaking
さて、試験日まであと2週間ほどになりましたが、当時私はまだ全くこの2セクションの勉強をしていませんでした。(不得意なので避けてきました。)
もともとこのセクションでは高得点は狙っていなかったのですが、何かできることがないかと思い調べてみると、テンプレートを暗記するのが一番コストパフォーマンスが良い、ということを目にしました。
結局私がこの2セクションで行った勉強は、この「テンプレートの暗記」に尽きます。テンプレートを暗記して、それらを問題集の問題に使ってみたりしました。
また、Speakingに関しては「TOEFL TEST対策iBTスピーキング」という本も買いましたが、あまり有効活用できず、いくつかの問題にテンプレートを当てはめたりして使っていました。
以上が私が行った勉強です。受験を決意してから試験日までの時間は大体4ヶ月位。時間配分は Reading : Listening : Writeing : Speaking = 4 : 4 : 1 : 1 くらいの感覚です。もっとアウトプットセクションに時間をかけるべきだったなと後悔しています。
結果
TOEFLのスコアは、受験から2週間位でネットで見れるようになります。郵送でも後日送られてきます。結果ですが、トータル84点でした。
内訳は、Reading : Listening : Writing : Speaking = 24 : 24 : 21 : 15 です。
Speakingが酷いですが、Writingがテンプレートの暗記でこれだけ取れたのは良かったです。
今後受験される方々の参考になれば嬉しいです。ここまで読んで頂きありがとうございました。
TOEFL-IBTとTOEFL-ITPの違い
東京大学情報理工学系研究科の英語の試験は2種類の方法で受験できます。
TOEFL-IBTとTOEFL-ITPの主な違いは次のような感じです。
TOEFL-IBT(Internet Based Test)
- 受験料:235USD(直前に申し込んだりする場合は価格が変わります。詳しくは公式HP)
- 試験内容:Reading, Listening, Speaking, Writing
- 受験日:任意のタイミングで何回でも受験可能(ただしスコアレポート送付のために出願2ヶ月前くらいまでに受験することが必要)
TOEFL-ITP(Institutional Testing Program)
- 受験料:院試の検定料に含まれる?(受験してないので詳細なことは言えませんが、模試などは4000円程度で受けられた気がします)
- 試験内容:Listening, Reading, Grammer
- 受験日:東京大学側で指定した1日限り(今年度は8月1日でした)
私が思うそれぞれのメリット・デメリットを以下に書きます。
TOEFL-IBT
◯メリット
- 好きな時に受験できる&何度でも受験できる
- 院試本番前に英語の勉強をする必要がない
- スピーキング&ライティング能力が上がる(かも)
◯デメリット
- 受験料が高い
- ITPと比較するとスピーキングとライティングの勉強をしなければならない
- Official Reportを送付する手間がかかる
TOEFL-ITP
◯メリット
- リーディングとライティング(と文法)だけなので、大学受験の時の知識が活きる
- 模試が安い
◯デメリット
- 一度しか受けられない
- 本郷で受験するので、地方に住んでいる人は東京へ出てこなければならない
重要そうなポイントは太字にしてあります。
結局のところ私がどちらをおすすめするかとういと…
TOEFL-IBTです。
実際には、TOEFL-ITPを受けていないのでイメージでの比較になります。一番大きいのは直前に英語の勉強をしなくて良いという部分かと感じています。
しかし、一般的に日本人はインプット重視の英語教育を受けているので、難易度的にはITPの方が低いのは間違いないでいしょう。
ただし、学部・院で研究を続けていく上で、アウトプットの能力は絶対に必要になるので、 このタイミングで練習をしておくと、後々活きてくると思います。
なので、院試本番まで時間がある人はIBTを受験することを強くお勧めします。本番まであまり時間がない人は、他の科目を勉強する時間を考えるとITPを受験したほうが良いでしょう。
最後に、TOEFL-IBTを受ける上での注意点をいくつか書きます。
- 出願する時点でスコアが出ていなければいけないので、受験するタイミングに気をつけましょう。一番遅い試験でも5月中旬ごろまでに受験する必要があった気がします。
- スコアレポートの送付を忘れないようにしましょう。受験すればそれで終わりではなく、TOEFLを運営するETSという団体から公式なスコアを大学に送ってもらわなくてはなりません。申請してから大学に到着するまで、6週間程度かかる場合もあるようですので、余裕をもって申請しましょう。
以上です。私自身がこのTOEFL-IBTのためにどのような勉強をしたかはこれから書いていく予定です。ここまで読んで頂きありがとうございました。
大学院入試経験記(東大情報理工コンピュータ科学)
こんにちは。私は現在早稲田大学の学部4年生です。
今年の夏に東京大学情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻を受験しました。その際に、過去の受験記がとても参考になったので、自分も今後受験する方のために経験を記そうと思います。
今回受験したのは下記の2校です。
ありがたいことに、どちらも合格を頂くことができました。
僕の受験勉強を時系列で示すと次のような感じです。
~学部3年~
4月 なんとなく外部を受験したいなと思う。東大の院試にはTOEFLが必要だということを知る。
8月 夏休みを使ってTOEFLの勉強をしようと決意。10月の公開テストに申し込む。
9月 自分のやりたい研究の方向が固まる。その分野で有名な先生が東大にいるということで、受験する研究室を決めた。
10月 TOEFL受験。とりあえずITPは受けずにこのスコアを提出することを決意。このころから数学の参考書を少しずつ読み始める。
1月 数学の演習問題を解き始める。専門科目はノータッチ
3月 専門科目の参考書を読み始める。
~学部4年~
5月 過去問を解きつつ、分からない時は参考書に戻る。
7月 早稲田大学院試
8月 東京大学院試
概ねこんな感じでした。
それぞれの科目でどのような勉強をしたかを今後書いていこうと思います。
ここまで読んで頂きありがとうございました。来年度以降受験する予定の方に、少しでも役に立てててもらえると嬉しいです。